『水平思考の世界』書評|行き詰まったとき、答えを探す前に問いを変えよ

問題を解決できないのは、答えが見つからないからではなく、問題の見方が間違っているからかもしれません。

私たちは、困難に直面すると、どうすれば解決できるかを考えます。

売上が減った。どうすれば売上を増やせるか。

借金が増えた。どうすれば返済できるか。

仕事がうまくいかない。どうすればもっと努力できるか。

しかし、どれほど考えても答えが見つからないことがあります。

そんなとき、必要なのは、さらに深く考えることではないかもしれません。

考える方向そのものを変えること。

今回、突破ラボが紹介するのは、エドワード・デボノの『水平思考の世界』です。

デボノは、従来の論理的な思考とは異なる発想法として「水平思考(ラテラル・シンキング)」を提唱しました。

目次

垂直思考と水平思考の違い

私たちが普段行っている思考の多くは、垂直思考と呼ばれるものです。

一つの問題について、論理を積み重ね、正しい答えを導こうとします。

例えば、売上が減少した会社があるとします。

売上を増やすにはどうすればよいか。

広告を増やす。

営業担当者を増員する。

商品の価格を下げる。

こうした方法は、既存の事業構造を前提に、改善策を考えるものです。

もちろん、それ自体は重要です。

しかし、水平思考では、別の問いを立てます。

そもそも、現在の商品を売り続ける必要があるのか。

顧客は商品そのものではなく、別の価値を求めているのではないか。

商品を売るのではなく、サービスとして提供できないか。

これまで当然だと思っていた前提を外すことで、新しい選択肢が生まれます。

垂直思考が既存の道を深く掘り進める思考なら、水平思考は別の場所に新しい道を探す思考です。

正しい答えを探す前に、問いを疑う

人間は、一度問題を定義すると、その枠組みの中で答えを探し始めます。

しかし、最初の問題設定が適切でなければ、どれほど優れた答えを出しても、本質的な解決にはつながらないことがあります。

例えば、ある飲食店が客数の減少に悩んでいるとします。

「どうすれば来店客を増やせるか」

この問いからは、広告、割引、営業時間の延長といった対策が生まれるでしょう。

しかし、問いを変えてみます。

「お客様が店に来なくても、料理を届けることはできないか」

すると、宅配や持ち帰りという選択肢が現れます。

さらに、

「そもそも、料理を完成品として売る必要があるのか」

と考えれば、調理キットやレシピの販売、料理教室など、別の事業の可能性も見えてきます。

もちろん、新しい発想が必ず成功するわけではありません。

しかし、従来の問いの中に閉じこもっていては、そうした可能性を検討することさえできません。

答えを変えたいなら、まず問いを変えてみる。

これが水平思考の大切な考え方です。

常識は、思考を助けると同時に制限する

常識は、社会生活に欠かせないものです。

私たちは、過去の経験や知識を利用することで、毎回すべてを考え直さずに判断できます。

しかし、常識には弱点もあります。

一度「こういうものだ」と考えると、それ以外の可能性が見えにくくなることです。

例えば、会社とは何でしょうか。

従業員が同じ場所に集まって働く組織でしょうか。

商品とは何でしょうか。

所有するために購入するものでしょうか。

教育とは何でしょうか。

教師が生徒に知識を教えることでしょうか。

これらは、ある時代には自然な考え方だったかもしれません。

しかし、働き方、所有の仕組み、学習方法は、技術や社会の変化によって新しい形を取り始めています。

水平思考では、当たり前とされている前提を一度疑います。

ただし、常識を否定すること自体が目的ではありません。

常識が正しいかどうかを考える前に、常識以外の可能性も存在することに気づく。

そこに意味があります。

失敗を別の角度から見る

失敗とは何でしょうか。

一般的には、目標を達成できなかったことを意味します。

事業に失敗した。

試験に落ちた。

投資で損失を出した。

こうした出来事は、現実の結果として受け止めなければなりません。

しかし、失敗という出来事の意味まで、一つに決める必要があるのでしょうか。

例えば、ある事業が失敗したとします。

その事業に投じた資金が戻らなければ、経済的な損失は現実です。

しかし、事業を通じて得た技術、人脈、顧客への理解まで、すべて失われたとは限りません。

それらを別の事業に活用できる可能性もあります。

つまり、同じ出来事を、

「資金を失った経験」

として見ることもできれば、

「新しい事業に使える知識を得た経験」

として見ることもできます。

もちろん、見方を変えただけで損失が消えるわけではありません。

それでも、出来事の解釈を一つに固定しなければ、次の行動を考える余地が生まれます。

失敗を成功と言い換えるのではなく、失敗の中に残された可能性を探す。

この姿勢は、水平思考を人生に応用する一つの方法だと思います。

借金問題にも発想の転換は必要か

借金を抱えた人は、まず返済方法を考えることが多いでしょう。

どうすれば収入を増やせるか。

どうすれば支出を減らせるか。

どうすれば返済期限に間に合わせられるか。

これらは重要な問いです。

しかし、返済が困難な状況では、別の問いも必要になります。

「現在の条件で返済を続けることだけが、解決方法なのか」

借金には、返済条件の見直しや、法的な債務整理といった選択肢もあります。

もちろん、制度の利用には条件や不利益があり、専門家による個別の検討が必要です。

それでも、返済するために新たな借金を重ねることだけを考えていては、問題がさらに深刻になる場合があります。

ここで大切なのは、現実から逃げることではありません。

問題を正面から受け止めたうえで、解決方法の前提を見直すことです。

水平思考は、都合のよい空想をするための方法ではなく、これまで検討していなかった選択肢を発見するための考え方なのです。

AI時代には、問いをつくる力が重要になる

ここからは、突破ラボ独自の考察です。

人工知能の発達によって、人間が行ってきた多くの知的作業が自動化され始めています。

文章を書く。

画像をつくる。

情報を整理する。

プログラムを作成する。

こうした作業を、AIが支援できる時代になりました。

では、人間には何が求められるのでしょうか。

私は、何を解決すべきかを考え、問題の枠組みそのものを組み替える力が、ますます重要になると考えます。

例えば、ある企業がAIを導入して、従来の事務作業を効率化したとします。

これは大きな進歩です。

しかし、さらに問いを変えることもできます。

「この事務作業は、そもそも必要なのか」

「顧客が自分で入力する仕組みに変えられないか」

「業務の流れそのものを再設計できないか」

AIによって従来の仕事を速くするだけでなく、仕事そのものの必要性を問い直すことができれば、さらに大きな変化が生まれるかもしれません。

ただし、AIが問いをつくれないというわけではありません。

AIも新しい視点や問題設定を提案できます。

だからこそ、人間には、AIが示した選択肢を含めて、何に価値があり、どの方向へ進むべきかを判断する力が求められます。

水平思考は、そのための重要な道具になると思います。

突破ラボがこの本を紹介する理由

人生で行き詰まったとき、人は努力が足りないと考えることがあります。

もっと働かなければならない。

もっと勉強しなければならない。

もっと我慢しなければならない。

しかし、努力を重ねても状況が改善しないことがあります。

そのとき、必要なのは努力の量を増やすことではなく、努力の方向を変えることかもしれません。

壁に突き当たったとき、壁を壊す方法だけを考える必要はありません。

横に道がないか。

別の入口がないか。

そもそも、その壁の向こうへ行く必要があるのか。

こうした問いを立てることで、問題の姿そのものが変わることがあります。

突破口とは、必ずしも目の前の壁を突破することではありません。壁の存在を前提としない、新しい道を発見することでもあるのです。

最後に|答えのない問題ではなく、問いが間違っているのかもしれない

『水平思考の世界』が教えてくれるのは、論理的に考えることの限界ではなく、論理的に考える前に、別の可能性を探すことの重要性です。

一つの考え方に固執すれば、見える世界は狭くなります。

しかし、視点を変えることで、同じ現実の中に別の可能性が現れることがあります。

現実そのものを変えることが難しい場合でも、現実に対する問いを変えることはできるかもしれません。

そして、新しい問いが、新しい行動につながることもあります。

あなたが今、解決できないと思っている問題は、本当に答えのない問題なのでしょうか。

それとも、まだ別の角度から見ていないだけなのでしょうか。

書籍情報

  • 書名: 『水平思考の世界』
  • 著者: エドワード・デボノ
  • ジャンル: 思考法・創造性・問題解決
  • おすすめの読者: 経営者、新規事業を考える人、発想の転換を身につけたい人、人生の行き詰まりを感じている人

※本記事は水平思考の考え方を踏まえた独自の解説・考察です。経営、借金、AIに関する事例は、考え方を理解するために突破ラボが独自に構成したものです。

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この記事を書いた人

こんにちは。

このブログは、困難や障害を突破する方法を解説しています。

私自身の実体験や、困難に直面したときの考え方はnoteでも発信しています。
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人生、山あり谷ありで、誰でも大なり小なり行く手をは阻む壁みたいなものを感じている方も多いのではないでしょうか。健康に関すること、お金に関すること、対人関係に関すること、様々な壁が私たちの前に立ちはだかります。壁を前にすると、結構悲観的になったりしますよね。

でも、案外、見方を変えたらうまくいったり、案ずるより産むが易し、であまり考えずに行動したらうまくいったりすることもあります。このブログではそんな困難を突破する方法を提示していきたいと考えています。このブログが少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

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