『サピエンス全史』書評|人間はなぜ、存在しないものを信じるのか

人間社会は、目に見えないものによって動いている。

国家、宗教、法律、お金、会社。

私たちは、これらが存在することを疑いません。

しかし、国家そのものを手で触ることはできません。会社も建物や従業員だけで成立しているわけではありません。

一万円札は、ただの紙でありながら、一万円分の商品と交換できます。

なぜ、そのようなことが可能なのでしょうか。

今回、突破ラボが紹介するのは、イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの著書『サピエンス全史』です。

この本は、人類の歴史をたどりながら、私たちが当然だと思っている社会の仕組みを根本から問い直します。

目次

なぜ人類だけが世界を支配したのか

かつて地球上には、ホモ・サピエンス以外にも複数の人類が存在していました。

その中で、なぜホモ・サピエンスが世界中に広がり、巨大な文明を築くことができたのでしょうか。

ハラリは、その重要な理由の一つを、実際には目の前に存在しないものについて語り、それを多くの人々が共有できる能力に求めます。

例えば、ある動物の群れは、仲間同士で協力することができます。

しかし、見知らぬ何万人もの個体が、共通の理念や制度を信じて協力することは容易ではありません。

人間は、国家、神話、宗教、法律、企業といった共通の物語を持つことで、血縁関係のない人々とも大規模に協力できるようになりました。

これが、ハラリのいう「認知革命」の重要な特徴です。

人間社会は虚構で成り立っている

ここでいう「虚構」とは、単なる嘘という意味ではありません。

多くの人が共通して信じることで、現実に大きな力を持つ物語や制度のことです。

例えば、お金です。

一万円札の紙やインク自体に、一万円分の価値があるわけではありません。

それでも私たちは、その紙を受け取る代わりに商品やサービスを提供します。

なぜなら、他の人も同じ価値を認めていると信じているからです。

会社も同じです。

会社には法律上の権利や義務がありますが、その存在は建物や社員個人と同一ではありません。

法律や社会制度によって、独立した存在として認められているのです。

つまり、人間は物理的な現実だけでなく、人々の共通認識によって成立する社会的な現実の中で生きています。

そして、その社会的な現実が、ときには私たちの人生を大きく左右します。

農業革命は本当に人間を幸せにしたのか

『サピエンス全史』のもう一つの重要なテーマは、進歩と幸福の関係です。

一般的に、農業の発達は人類の進歩として語られます。

食料を生産し、村や都市を築き、人口を増やすことができるようになったからです。

しかし、ハラリは別の角度から問いかけます。

農業によって人類全体の人口は増えたとしても、一人ひとりの暮らしは本当に豊かになったのでしょうか。

農耕生活は、長時間の労働、限られた食料への依存、感染症の拡大など、新しい問題も生みました。

ハラリは、農業革命を人類にとって必ずしも単純な幸福の増大ではなかったものとして描きます。

ここから見えてくるのは、社会全体の発展と、個人の幸福は必ずしも一致しないという問題です。

私たちは、自分でつくった物語に支配されているのか

ここからは突破ラボ独自の考察です。

人間は社会をつくりました。

そして、社会を維持するために法律や制度、価値観を生み出しました。

ところが、その制度や価値観が、今度は人間の生き方を規定するようになります。

例えば、社会的な成功とは何でしょうか。

高い収入を得ること。

大きな会社を経営すること。

有名になること。

立派な肩書を持つこと。

これらは、ある社会では成功の象徴とされています。

しかし、それがすべての人間にとって幸福を意味するとは限りません。

それでも、私たちは周囲の価値観に影響され、自分が本当に望んでいるかどうかを考える前に、社会が示した成功を追いかけてしまうことがあります。

人間は物語をつくる能力によって文明を築き、その物語によって自分自身を縛ることもあるのです。

虚構だからといって、無視できるわけではない

ここで注意したいのは、「虚構だから価値がない」という結論ではありません。

お金も法律も会社も、多くの人が共通して認めているからこそ、現実に機能しています。

借金も、契約や法律に基づく現実の義務です。

社会制度が人間によってつくられたものであることと、その制度が現実の影響力を持つことは矛盾しません。

ただし、人間がつくった制度であるなら、絶対に変えられない自然法則と同じものとして考える必要はありません。

制度は見直すことができます。

価値観も変化します。

昨日まで当然だと思われていたことが、明日には違う形になることもあります。

そこに、人間社会の可能性があるのではないでしょうか。

突破ラボがこの本を紹介する理由

人生には、自分の力では変えられない現実があります。

しかし、私たちが変えられないと思い込んでいるものの中には、社会がつくり上げた価値観や慣習も含まれているかもしれません。

「失敗した人間には価値がない」

「一度転落したら、もうやり直せない」

「他人より豊かでなければ幸せになれない」

こうした考え方は、自然界の法則ではありません。

人間がつくり、人間が信じてきた価値観です。

もちろん、そうした価値観が現実の差別や不利益を生むことはあります。

だからこそ、何が事実で、何が社会的な思い込みなのかを考える必要があります。

自分を苦しめているものが、本当に変えられない現実なのか。それとも、誰かがつくった物語なのか。

その違いに気づくことが、新しい突破口になるかもしれません。

最後に|あなたが信じているものは何か

『サピエンス全史』は、人類がどのように文明を築いてきたのかを描いた歴史書です。

しかし、その内容は過去の出来事だけにとどまりません。

私たちが今、何を信じ、何を目指し、何に価値を感じているのかを問い直すきっかけになります。

お金、地位、成功、常識。

それらは私たちの生活に必要なものかもしれません。

けれども、すべてを無条件に受け入れる必要はないはずです。

あなたが人生で追い求めているものは、本当にあなた自身が望んだものなのでしょうか。

それとも、社会がつくった物語を、自分の願いだと思い込んでいるのでしょうか。

書籍情報

  • 書名:『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』
  • 著者:ユヴァル・ノア・ハラリ
  • ジャンル:歴史・人類学・思想
  • おすすめの読者:社会の仕組み、人間の価値観、文明と幸福の関係について考えたい方

※本記事は書籍の内容を踏まえた独自の解説・考察です。学術的に議論のある論点も含まれており、著者の主張と突破ラボ独自の解釈を区別して紹介しています。

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この記事を書いた人

こんにちは。

このブログは、困難や障害を突破する方法を解説しています。

私自身の実体験や、困難に直面したときの考え方はnoteでも発信しています。
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人生、山あり谷ありで、誰でも大なり小なり行く手をは阻む壁みたいなものを感じている方も多いのではないでしょうか。健康に関すること、お金に関すること、対人関係に関すること、様々な壁が私たちの前に立ちはだかります。壁を前にすると、結構悲観的になったりしますよね。

でも、案外、見方を変えたらうまくいったり、案ずるより産むが易し、であまり考えずに行動したらうまくいったりすることもあります。このブログではそんな困難を突破する方法を提示していきたいと考えています。このブログが少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

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