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「髪にいい食べ物を食べれば、薄毛は改善するのか」。抜け毛が気になり始めると、誰もが一度は考えることです。
結論から言うと、栄養が不足している人がそれを補うことには意味があります。一方で、食事だけで薄毛が改善するという、はっきりとした因果関係は確認されていません。
この記事では、食事と発毛の関係について研究で分かっていることを整理し、食事を土台にしたうえでどんな選択肢があるのかをまとめます。
不足すると抜け毛につながる栄養素
髪の毛は、毛根の細胞が活発に分裂して作られています。そのため、材料や働きを支える栄養が足りないと、髪の成長に影響が出ることがあります。2019年に皮膚科の専門誌に掲載されたビタミン・ミネラルと脱毛に関するレビュー論文などから、主な栄養素を整理します。
タンパク質
髪の主成分はケラチンというタンパク質です。極端な食事制限や急激なダイエットのあとに抜け毛が増えるのは、タンパク質やエネルギーの不足で、髪が一斉に休止期に入ってしまうことが一因とされています。
多く含む食品:肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
鉄
鉄が不足すると、抜け毛につながることがあると考えられています。レビュー論文では、鉄欠乏や貯蔵鉄(フェリチン)の低下がある場合には補充が勧められるとしています。特に月経のある女性は不足しやすい栄養素です。
多く含む食品:赤身の肉、レバー、カツオ、あさり、小松菜、ほうれん草(野菜の鉄は、ビタミンCと一緒にとると吸収されやすくなります)
亜鉛
重い亜鉛不足では脱毛が起こり、補うことで回復することが知られています。ただし、一般的な薄毛(男性型脱毛症)と亜鉛の関係については、研究結果が一致していません。
多く含む食品:牡蠣、牛肉、豚レバー、卵、ナッツ類
ビタミンD
ビタミンDは毛包の働きに関わるとされ、不足している場合には補充を勧める意見が多くあります。日光を浴びることでも体内で作られます。
多く含む食品:鮭、さば、いわし、きのこ類、卵黄
注意:「足りている人が増やす」効果は確認されていない
ここで大切なのは、これらの栄養素が不足している人が補った場合に意味がある、という点です。すでに足りている人がサプリメントで上乗せしても、髪が増えるという根拠は示されていません。
むしろ、とりすぎに注意が必要な栄養素もあります。
- ビタミンA・セレン:過剰にとると、かえって脱毛の原因になることがあります
- ビオチン:欠乏はまれで、健康な人は補う必要がないとされています。また、血液検査の結果に影響することがあります
- 鉄:不足していない人がサプリメントでとり続けると、過剰症のおそれがあります
自分に何が不足しているかは、食事の内容だけでは分かりにくいものです。気になる場合は、健康診断の結果を見直したり、医療機関で血液検査を受けたりして確認するのが確実です。
食習慣と薄毛の関係を調べた研究
栄養素の過不足とは別に、「どんな食生活の人に薄毛が多いか」を調べた研究もあります。
- 野菜やハーブ:イタリアの研究(2018年)では、生野菜や新鮮なハーブをよく食べる男性ほど、男性型脱毛症のリスクが低い傾向が報告されています
- 甘い飲み物:中国の清華大学の研究(2023年)では、18〜45歳の男性約1,000人を調べたところ、加糖飲料を週7回より多く飲む人は、飲まない人に比べて男性型脱毛症になる可能性が約3.4倍高いという結果でした
- 抗酸化物質の多い食事:イランの約9,600人を対象にした研究(2024年)では、抗酸化物質を多く含む食事をしている人ほど、薄毛が少ない傾向が見られました(ただし、はっきりした関連が見られたのは主に女性でした)
ただし、これらはいずれも「そういう食生活の人に薄毛が少ない(多い)」という関連を示したものです。「その食事に変えれば髪が生える」という因果関係までは証明されていません。研究者自身も、より大規模で厳密な研究が必要だとしています。
なお、カボチャ種子油を使った小規模な臨床試験(2014年、韓国の男性76人)で毛髪数の増加が報告された例もありますが、規模が小さく、追試が必要とされています。特定の食品やサプリメントに過度な期待をするのは避けたほうがよいでしょう。
食事で今日からできること
研究から見えてくるのは、「特別な食べ物」より「偏らない食事」が大切だということです。
- 主食・主菜・副菜をそろえる:毎食、肉・魚・卵・大豆のどれかと、野菜をとることを意識する
- 極端な食事制限をしない:急なダイエットは抜け毛のきっかけになりやすい
- 甘い飲み物を習慣にしない:水やお茶に置き換えるだけでも、健康全体にプラスになる
- 魚ときのこを意識する:ビタミンDは不足しがちな栄養素のひとつ
毎日の食事をヘルシーにする工夫は、「医食同源とは?いつものごはんを「置き換え」でヘルシーにする5つのコツ」や「ヘルシーパスタレシピ5選」でも紹介しています。
食事を土台に、根拠のある対策を組み合わせる
栄養バランスの整った食事は、髪にとっても体にとっても土台になります。ただ、男性型脱毛症(AGA)は男性ホルモンと遺伝が関わる進行性の脱毛症なので、食事だけで進行を止めるのは難しいのが現実です。
日本皮膚科学会のガイドラインで強く勧められているのは、内服薬(フィナステリド・デュタステリド)とミノキシジルの外用薬です。食事を整えたうえで、薄毛の進行が気になる場合は、こうした治療を検討するのが現実的な順番です。詳しくは「再出発の前に薄毛と向き合う|ガイドラインで見る「効く対策」と「効かない対策」」で整理しています。
通院せずに相談したいなら:オンライン診療
スマートフォンで診察を受け、薬を自宅に届けてもらえます。忙しい人や、クリニックに通うところを見られたくない人に向いています。
直接診てもらいたいなら:対面のクリニック
頭皮の状態を直接見てもらいながら、治療方針を相談できます。初回のカウンセリングで、総額の目安を確認しておくと安心です。
女性の薄毛が気になるなら
女性の薄毛は男性とは原因や治療法が異なります。鉄不足が関わっていることもあるため、女性の薄毛を専門に扱うクリニックで相談するのがおすすめです。
頭皮ケアの習慣づくりを伴走してほしいなら:発毛サロン
発毛サロンは医療機関ではないため、診察や薬の処方は受けられません。頭皮の洗浄やマッサージ、生活習慣のアドバイスなどが中心です。契約前に、総額・期間・解約条件を必ず確認しましょう。関西エリア(大阪・神戸・奈良・滋賀)では、BIDAN(ビダン)があります。
まとめ
- タンパク質・鉄・亜鉛・ビタミンDなどが不足している人が補うことには意味がある
- 足りている人がサプリメントで上乗せしても、髪が増える根拠はない。とりすぎが逆効果の栄養素もある
- 野菜が多い食事や、甘い飲み物を控える習慣と薄毛の関連は報告されているが、因果関係ははっきりしていない
- まずは栄養バランスの整った食事を基本にし、そのうえで進行が気になるなら、根拠のある治療を検討する
食事は、髪のためだけでなく、再出発に向けた体づくりの土台です。できることから整えていきましょう。
【参考】
・Almohanna HM, et al. “The Role of Vitamins and Minerals in Hair Loss: A Review.” Dermatology and Therapy, 2019.
・Fortes C, et al. “Mediterranean diet: fresh herbs and fresh vegetables decrease the risk of Androgenetic Alopecia in males.” 2018.
・清華大学「加糖飲料と男性型脱毛症に関する研究」(Nutrients, 2023)
・Bazmi S, et al. “Dietary antioxidant index and dietary inflammatory index in androgenetic alopecia.” Frontiers in Nutrition, 2024.
・Cho YH, et al. “Effect of Pumpkin Seed Oil on Hair Growth in Men with Androgenetic Alopecia.” eCAM, 2014.
・日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。治療については医師・薬剤師にご相談ください。
