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何も起きない。その日から生活はこう変わる。
地震や台風などの災害、そして有事。ライフライン(電気・ガス・水道)が止まると、ふだん意識していない「食べる・洗う・トイレに行く」が一気に難しくなります。何が起きるかを先に知っておけば、慌てずに乗り切れます。
- 電気・ガス・水道が止まると何が起きるか、復旧の目安がわかる
- 止まった直後にやるべきこと(ブレーカー・トイレ・ガスメーター)がわかる
- 食事・お風呂・トイレをどう乗り切るかがわかる
- 今のうちにそろえておきたい備蓄品がわかる
電気・ガス・水道が止まったら何が起きる?
復旧までの目安|電気は早く、水道とガスは長引きやすい
復旧にかかる日数は、地震の大きさや被害の場所で大きく変わります。中小企業庁の事業継続(BCP)の指針では、阪神・淡路大震災の分析をもとにした被害想定を参考に、平均的な復旧日数を次のように見込んでいます。
| 地域の震度 | 電気 | 水道 | ガス |
|---|---|---|---|
| 震度6弱 | 1日 | 7日 | 15日 |
| 震度6強 | 2日 | 15日 | 30日 |
| 震度7 | 4日 | 30日 | 45日 |
※中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」で想定されている平均的な復旧日数です。実際の復旧はこれより早いことも、遅いことも、地域によって大きく異なることもあります。
電気は比較的早く戻りますが、水道は2週間〜1か月、ガスはそれ以上かかることもあります。「電気が戻っても、水とガスのない生活がしばらく続く」と考えて備えておくのが現実的です。
止まった直後にやること|電気・水道・ガス別のチェックリスト
- ブレーカーを落とす:電気が戻った瞬間に、倒れた電気ストーブや傷んだコードから火が出る「通電火災」を防ぐためです。避難などで家を離れるときは必ず落とします
- 電気が戻ったらすぐに使わない:電気製品や配線、コードが傷んでいないか、近くに燃えやすいものがないかを確認してからブレーカーを戻します
- 冷蔵庫はできるだけ開けない:庫内の温度が上がらないよう、開け閉めは手早く最小限にします
- スマホの節電:画面を暗くし、使わないアプリを閉じ、モバイルバッテリーを温存します
- トイレの水はすぐに流さない:大きな地震では下水道管が壊れていることがあり、流すと道路にあふれたり、家のトイレに逆流したりするおそれがあります。自治体から使ってよいと案内があるまで、携帯トイレを使います
- 蛇口を閉めておく:開けたままだと、水道が戻ったときに水があふれることがあります
- 給水所の場所を確認する:自治体のホームページや防災無線、ラジオで給水の場所と時間を確認します
- まずガス臭くないか確認する:ガス臭いときは火を使わず、復帰操作もせずにガス会社へ連絡します
- マイコンメーターを復帰させる:都市ガスやLPガスのメーターは、震度5相当以上の揺れで自動的にガスを止めます。ガス臭くなければ、すべてのガス栓・器具栓を閉め、メーターの復帰ボタンを押してすぐ離し、3分以上待ってから使います
- LPガスは点検を受けてから:揺れが大きかったときは、使う前に販売店や保安機関の点検を受けます
食事はどうする?|火・水・電気がなくても食べられる工夫
ライフラインが止まった直後は、まず「調理しなくても食べられるもの」から。そのあと、カセットコンロと少ない水で温かい食事を作れるようにしておくと、気持ちも落ち着きます。
食器を洗う水も貴重なので、皿にラップを敷いて使うと洗い物を減らせます。ラップやポリ袋の使い方は防災でラップが役立つ使い道10選で詳しく紹介しています。
お風呂はどうする?|入れない前提で「体を清潔に保つ」工夫
断水やガスの停止が続くと、お風呂やシャワーは何日も使えません。湯船に入ることはあきらめ、「少ない水で体を清潔に保つ」に切り替えます。
- 体拭きシートで拭く:大判のボディシートやウェットタオルで、首まわり・わき・足など汗をかきやすいところから拭きます
- 髪はドライシャンプーで:水を使わないシャンプーで、頭のかゆみやにおいを抑えられます
- 歯みがきも忘れずに:歯みがきシートや少量の水で口の中を清潔に保ちます。口の中が汚れたままだと、体調を崩す原因にもなります
- 下着は替える:着替えが少なくても、下着と靴下だけは替えると気分がまったく違います
- 入浴支援を利用する:大きな災害では、自治体や自衛隊などによる入浴支援が行われることがあります。案内を確認しましょう
浴槽に水がたまっていれば、トイレを流したり(下水道が使えると案内があった場合)、床を拭いたりする生活用水になります。ただし、小さな子どもがいる家では、水をためた浴槽への転落に十分注意してください。
トイレはどうする?|携帯トイレの使い方と必要な数
ライフラインが止まったときに、いちばん困るのがトイレです。食事は少し我慢できても、トイレは我慢できません。断水したら、まず携帯トイレに切り替えます。
必要な数の目安は「1人1日5回×人数×日数」です。4人家族なら1日20回、1週間で140回分になります。思った以上に多いので、早めにそろえておきましょう。
ライフラインが止まったときにあると助かるもの
「止まった直後」より「止まった状態が何日も続く」ことを考えて選びました。
給水車から水を運ぶための容器です。折りたためるタイプなら普段は場所を取りません。水は重いので、10L前後のものを複数持つと運びやすくなります。
カセットコンロの定番はイワタニ。ボンベも同じメーカーでそろえておくと安心です。ガスの復旧は長引きやすいので、ボンベは多めに。普段の鍋料理で使いながら入れ替えると、期限切れの心配もありません。
キャンプで定番の四角い飯ごう。小さくて軽く、カセットコンロの上でも1〜2合を手早く炊けます。研がずに炊ける無洗米と一緒に備えておくと、とぎ汁で貴重な水を使わずに済みます。
ふだんの食卓でおいしく炊けて、停電中もカセットコンロで同じように使えます。災害時は、コンロの五徳からはみ出さない小さめのサイズを選ぶのが安全です。
温めずにそのまま食べられる缶詰のごはん。断水した直後でも、缶を開ければすぐ主食になります。玄米なので、非常時に不足しがちな食物繊維やミネラルも補いやすいのが強みです。
ごはんと牛丼の具が1缶に入った缶詰。おかずを別に用意しなくても1食になります。避難生活が続くと「いつもの味」が気持ちの支えになるので、主食の備蓄に何缶か混ぜておくのがおすすめです。
5年以上保存できるパウチ入りのスープ。温めずにそのまま飲めて、水分と野菜を同時にとれます。トマト・かぼちゃ・豆・きのこなど味の種類があり、主食の缶詰やアルファ米と組み合わせやすいのが便利です。
お湯を注ぐだけの長期保存タイプ。カセットコンロでお湯が沸かせるようになったら、温かい汁物が体も気持ちも温めてくれます。軽くてかさばらないので、数をそろえやすいのも利点です。
断水中は食器を洗う水も貴重です。使い捨てにすれば洗い物がなくなり、衛生的にも安心。ラップを敷けば紙皿もくり返し使えます。温かい汁物用に、深めの紙ボウルもあると便利です。
スマホの充電はもちろん、容量の大きいものなら照明や扇風機、電気毛布も使えます。ソーラーパネルと組み合わせれば、停電が長引いても充電できます。
部屋全体を照らせるので、懐中電灯より生活しやすくなります。余震で倒れても火事にならないLEDを選び、ろうそくは避けるのが安全です。電池式と充電式を1台ずつ持っておくと、停電が長引いても困りません。
※商品の価格・在庫は各ショップのページでご確認ください。
ライフライン停止のよくある質問
Q. 停電すると水道も止まる?
戸建ての多くは水道管の水圧で水が出るため、停電だけなら水は出ることが多いです。一方、マンションなど、ポンプで水を高いところにくみ上げている建物では、停電するとポンプが止まり、断水することがあります。自分の住まいがどちらか、管理会社などに確認しておくと安心です。
Q. 電気が戻ったらすぐ使っていい?
すぐには使わず、電気製品やコードが傷んでいないか、燃えやすいものが近くにないかを確認してからブレーカーを戻します。見た目に傷がなくても、壁の中の配線や機器の内部が傷んでいて、時間がたってから火が出ることもあります。焦げたにおいや煙に気づいたら、すぐにブレーカーを落としてください。
Q. ガスのマイコンメーターを戻しても、またすぐ止まる
復帰ボタンを押してから3分以内にコンロなどを使うと、ガス漏れと判断されて再び止まることがあります。すべての器具を閉めたまま3分以上待ってから使ってください。それでも戻らない、ガス臭いときは、ガス会社に連絡します。
Q. 備蓄は何日分あればいい?
水と食料は最低3日分、できれば1週間分が目安とされています。ただ、上の表のとおり水道やガスは復旧に何週間もかかることがあるので、簡易トイレやカセットボンベは多めにあると安心です。備蓄量の詳しい目安は防災グッズ・備蓄品の本当に必要なものリストにまとめています。
Q. 停電でエアコンが使えないときの暑さ・寒さは?
夏は熱中症、冬は低体温症や、ストーブによる一酸化炭素中毒に注意が必要です。具体的な対策は冷房・暖房が使えないときの暑さ・寒さ対策で紹介しています。
まとめ|「止まった生活」を一度想像しておくことが、いちばんの備え
電気・ガス・水道は、止まって初めてそのありがたさがわかります。でも、止まったら何が困るかを一度具体的に想像しておけば、そろえるべきものも、やるべきことも見えてきます。
今夜、家の電気・ガス・水道を「使わない」つもりで、食事・お風呂・トイレをどうするか考えてみてください。足りないものが、あなたの家に必要な備えです。
