「会社を辞めたい。でも、何から始めればいいのかわからない」。退職から転職までには、会社への伝え方、健康保険や年金の切り替え、失業保険、転職活動と、やることがたくさんあります。しかも、退職後の手続きには「14日以内」「20日以内」といった短い期限があるものも少なくありません。
このページでは、退職から転職までの流れを5つのステップに分け、時期ごとのやることリストにまとめました。それぞれのステップの詳しい記事も案内しています。いまの自分の段階から読んでください。
先に結論|退職から転職までにやること
- 辞める前に、お金の見通しを立てる。毎月の最低生活費と、退職後の健康保険・年金・住民税を足すと、必要な貯金の目安がわかります。
- 退職は、就業規則を確認してから伝える。期間の定めのない雇用なら、民法では2週間前までに申し出れば退職できるとされていますが、円満に辞めるには就業規則の期限に合わせるのが一般的です。
- 退職後すぐに次の会社へ入らないなら、手続きの期限に注意。国民健康保険(国保)と国民年金は原則14日以内、健康保険の任意継続は資格喪失日(退職日の翌日)から20日以内です。
- 失業保険は、自動では振り込まれない。離職票を持ってハローワークで手続きし、待期や給付制限を経てから支給されます。
- 転職活動は、在職中か退職後かを「数字」で決める。貯金で何か月暮らせるかを出してから選ぶと、焦らずに進められます。
退職から転職までの流れ(全体図)
時期別の退職やることリスト(チェックリスト)
退職の前後でやることを、時期の順に並べました。期限のあるものは、とくに見落とさないようにしてください。次の会社にすぐ入社する場合は、健康保険・年金の切り替えや失業保険の手続きは基本的に必要ありません。
| 時期 | やること | 期限・目安 |
|---|---|---|
| 退職を決める前 | 毎月の最低生活費と、退職後にかかるお金(健康保険・年金・住民税)を計算する | できるだけ早く |
| 退職を決める前 | 就業規則で、退職を申し出る期限を確認する | 退職を伝える前 |
| 退職の1〜2か月前(目安) | 上司に退職を伝え、退職日を決める。引き継ぎの準備をする | 就業規則の期限まで(民法では2週間前) |
| 退職日まで | 離職票・源泉徴収票・健康保険の資格喪失を証明する書類などを受け取る手配をする | 退職日まで(離職票は退職後に届くことが多い) |
| 退職後 | 健康保険を選ぶ(任意継続・国民健康保険・家族の扶養) | 任意継続は20日以内、国保は原則14日以内 |
| 退職後 | 国民年金への切り替え(扶養していた配偶者も) | 14日以内 |
| 退職後 | 住民税の払い方を確認する(届いた納付書で払う) | 納付書の期限まで |
| 退職後 | ハローワークで失業保険(基本手当)の手続きをする | 離職票が届いたらすぐ |
| 在職中または退職後 | 転職活動(エージェント登録、応募、面接) | 生活費が続く期間を目安に |
STEP1|辞める前に、お金と働き方を確認する
退職を考えたとき、いちばん大きなブレーキになるのはお金の不安です。確認したいのは貯金の額だけではありません。最後の給与がいつ入るか、失業保険はいつから出るか、健康保険・年金・住民税をいくら払うかまで書き出すと、退職後の資金不足を防ぎやすくなります。
在職中に転職活動をするか、先に辞めてから探すかに、一律の正解はありません。在職中なら収入が続き焦りにくい一方、面接の日程調整が難しくなります。先に辞めれば時間は作れますが、無収入の期間ができ、健康保険・年金・住民税を自分で払うことになります。貯金で何か月暮らせるかを出してから決めるのが現実的です。
STEP2|退職を伝え、必要な書類を受け取る
期間の定めのない雇用(正社員など)の場合、民法では、2週間前までに退職を申し出れば会社の承諾がなくても退職できるとされています。ただし、就業規則に退職の申し出の期限が決められている場合は、円満に辞めるために、その期限までに伝えるのが一般的です。契約社員など期間の定めのある雇用は、原則として契約期間が終わるまで退職できず、やむを得ない理由がある場合に限られます。
退職が決まったら、退職後の手続きで使う書類を受け取れるよう手配しておきます。
| 書類 | 何に使う? |
|---|---|
| 離職票(-1、-2) | ハローワークでの失業保険の手続き |
| 健康保険の資格喪失を証明する書類 | 国民健康保険への加入 |
| 退職日がわかる書類(退職証明書など) | 国民年金への切り替え |
| 源泉徴収票 | 転職先での年末調整、または確定申告 |
失業保険を受け取る予定なら、離職票が必要なことを退職前に会社へ伝えておきましょう。退職証明書は、本人が求めると会社が出す書類です。
退職を強く引き止められたり、辞めさせてもらえなかったりして困ったときは、各都道府県の労働局や労働基準監督署などにある「総合労働相談コーナー」に無料で相談できます。
STEP3|退職後の手続き(健康保険・年金・住民税)

会社を辞めると、勤務先の健康保険と厚生年金は、退職日の翌日(資格喪失日)に資格を失います。次の会社にすぐ入らない場合は、自分で切り替えの手続きが必要です。期限が短いので、退職後の最初の2週間で済ませるつもりで進めましょう。
| 手続き | 選択肢・内容 | 期限 | 窓口 |
|---|---|---|---|
| 健康保険 | 任意継続(退職前の健康保険を最長2年続ける。保険料は全額自己負担。資格喪失日の前日までに、続けて2か月以上加入していたことが条件) | 資格喪失日から20日以内 | 協会けんぽ・健康保険組合 |
| 健康保険 | 国民健康保険に入る | 原則14日以内 | 住んでいる市区町村 |
| 健康保険 | 家族の扶養に入る(収入などの条件あり) | 家族の勤務先で手続き | 家族の勤務先 |
| 年金 | 国民年金の第1号被保険者(自営業や無職の人などの区分)への切り替え。対象は20歳以上60歳未満の人で、扶養していた配偶者も切り替えが必要 | 14日以内 | 住んでいる市区町村 |
| 住民税 | 給与からの天引きが終わり、届いた納付書で自分で払う(退職月によっては最後の給与から一括で引かれる) | 納付書の期限まで | 住んでいる市区町村 |
任意継続と国民健康保険のどちらが安いかは、退職前の給与や前年の所得、家族の人数、住んでいる自治体で変わります。名前だけで決めず、両方の月額を比べてから選びましょう。
STEP4|失業保険(基本手当)の手続きをする
一般に「失業保険」と呼ばれているのは、雇用保険の基本手当です。退職した翌日に自動で振り込まれるものではなく、次の流れで手続きをして、はじめて支給されます。
- 会社から離職票を受け取る
- 住所地を管轄するハローワークで求職の申し込みをし、離職票を出す
- 失業の状態が通算7日間続く「待期」を経る(この間は支給なし)
- 自己都合で退職した場合は、さらに給付制限期間(この間も支給されない期間)がある。2025年4月以降の退職では原則1か月(退職日からさかのぼって5年間に、正当な理由のない自己都合退職で2回以上受給資格決定を受けている場合は3か月)
- 原則4週間に1度の失業認定日に、求職活動の実績を申告し、その後に振り込まれる
受け取れる金額や日数は、退職前の賃金、年齢、雇用保険に入っていた期間、退職の理由によって変わります。詳しい計算方法は、次の記事で紹介しています。
STEP5|転職活動を進め、次の仕事へ
転職活動は、在職中から始めることもできます。転職エージェントは1社に絞らず、2〜3社に登録して担当者と求人を比べると、失敗しにくくなります。40代・50代の転職は、若い世代より選考のハードルは上がりますが、これまでの経験や専門性を生かせる仕事を探すことで道は開けます。
職種別の転職ガイド
- 医療・介護:医療・介護の転職サービス比較
- 看護師:看護師が転職するときに気をつけること、夜勤を減らす5つの方法
- 薬剤師:MRから薬局へ転職するのはなぜ?
- 医師:医師が退職を考えるのはどんなとき?、40代・50代医師の転職
- IT:IT資格おすすめ7選
退職・転職でよくある質問
Q. 退職から転職までの期間は、どれくらいが目安?
決まった目安はありません。在職中に転職先を決めれば空白期間はなくなります。先に辞める場合は、毎月の最低生活費に、健康保険・年金・住民税を加えた金額で、貯金が何か月もつかを計算してから期間を決めましょう。
Q. 次の会社にすぐ入社する場合も、手続きは必要?
退職日の翌日に次の会社に入社する場合は、新しい会社で健康保険と厚生年金に入るため、国民健康保険や国民年金への切り替えは基本的に必要ありません。ただし、1日でも空白があると切り替えが必要になることがあるので、入社日を確認しておきましょう。その年のうちに再就職した場合は、前の会社の源泉徴収票を新しい会社に提出します。
Q. 会社が辞めさせてくれないときは?
まずは就業規則の期限に沿って、退職日と退職の意思をはっきり伝えます。それでも話が進まない場合は、労働局や労働基準監督署などにある総合労働相談コーナーに相談できます。相談は無料です。
まとめ|退職は「お金の見通し」と「期限」を押さえれば怖くない
退職から転職までの流れは、お金と働き方の確認、退職を伝える、健康保険・年金・住民税の手続き、失業保険の手続き、転職活動の5つのステップに分けると整理しやすくなります。とくに、国民健康保険と国民年金の14日以内、任意継続の20日以内という期限は忘れないようにしましょう。
上の全体図とやることリストから、いまの自分に合うステップの記事を読んで、ひとつずつ進めてください。
※この記事は一般的な情報をまとめたものです。制度の細かな条件は変わることがあるため、手続きの前に、勤務先や市区町村、ハローワークなどの窓口で確認してください。
このページの主な出典
- 宮城県「労働相談Q&A(退職の申し出)」(民法627条・628条と就業規則の関係)
- 江東区「会社を退職したときの国民年金の手続き」(14日以内の切り替え、配偶者の手続き、必要書類)
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」(労働問題の無料相談)
- 協会けんぽ「退職後の健康保険のご案内」(任意継続の条件・20日以内・最長2年)
- ハローワークインターネットサービス「基本手当について」(失業保険の待期・給付制限・失業認定)
- 国民健康保険(原則14日以内)や住民税の詳しい出典は、各記事の末尾に掲載しています
情報確認日:2026年11月8日







