自転車で、疲れにくい体と動ける脚を。
持久力アップと下半身の筋力づくりを、いつもの移動から。
少し動くと疲れる。以前より脚を使わなくなった。そんなときに取り入れたい運動の一つが、自転車です。ペダルを繰り返し漕ぐ動作は、心肺の持久力を養う有酸素運動になり、太ももやお尻など下半身の筋肉も使います。
この記事では、自転車に期待できる身体的な効果を「持久力」と「下半身の筋力」の2つに分けて説明します。坂道や漕ぎ出しがつらくて続かない人には、電動アシスト付きがおすすめです。
効果① 持久力アップ――動き続けられる体を目指す
自転車を一定のペースで漕ぎ続けると、脚の筋肉へ酸素を届けるために心臓や肺が働きます。こうした有酸素運動を継続することで、全身持久力の向上が期待できます。目指すのは速さの記録より、日常で体を動かし続けられる余力です。
もう一つは、脚の「筋持久力」。これは一度に大きな力を出す能力ではなく、同じ動作を繰り返す力です。ペダルを何度も回す自転車は、この脚の粘り強さを養う運動にもなります。
全身持久力
心肺が酸素を供給し、全身で運動を続ける力。自転車は有酸素運動として取り入れられます。
脚の筋持久力
筋肉が繰り返し働き続ける力。漕ぐ動作を積み重ねて養います。
最初から息が切れるまで走る必要はありません。短い平坦な道で、周囲の安全を確認できる余裕を残して始め、慣れてから少しずつ時間を延ばしましょう。
効果② 下半身の筋力づくり――太もも・お尻を使う
ペダルを踏み込むときは、太ももの前側やお尻を中心に、下半身の筋肉が働きます。座っている時間が長く、脚を動かす機会が減った人にとって、買い物や近所への移動を自転車に替えることは、脚を使う習慣を増やす方法になります。
自転車トレーニングによる下肢の筋力・筋量の向上を報告した研究もあります。余裕がある人は、ギアを一段重くすると筋力アップにつながります。
根拠:自転車トレーニングと下肢の筋力・筋量に関する総説(Ozakiほか、2015)/厚生労働省:筋力トレーニングについて
どれくらい乗ればいい?1日の目安時間
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、歩行またはそれと同等以上の強度の体の活動を、成人は1日60分以上、高齢者は1日40分以上行うことを推奨しています。
運動の強さを表す「メッツ」で見ると、自転車は時速16km未満の通勤程度で4メッツ、電動アシスト付き自転車でも3メッツで、普通の歩行と同じくらいの強度です。つまり、買い物や通勤の移動を自転車に替えれば、その時間をそのまま1日の目安に数えられます。
たとえば片道15分の自転車通勤なら、往復で30分。残りを歩く時間で補えば、1日60分に届きます。最初から目安にこだわらず、今より少しでも体を動かす時間を増やすことから始めましょう。
ウォーキングと自転車、どっちがいい?
同じ時間なら、普通の速さで自転車に乗る(4メッツ)ほうが、普通に歩く(3メッツ)よりやや強度が高めです。また自転車は、体重をサドルで支えながら行う、着地の衝撃がない運動でもあります。ただし、膝や腰に痛みがある人は、始める前に医療機関に相談してください。
どちらか一方を選ぶより、天気や行き先に合わせて続けやすいほうを組み合わせるのが現実的です。
こういう人には、電動アシスト付きがおすすめです
「自転車に乗りたいけれど、あの坂があるからやめておこう」。そんな、運動を始める前の壁を低くするのが電動アシストです。次のような人は、試乗して自分に合うか確かめてみてください。
近所に坂道が多い人
上り坂がつらくて乗るのを避けているなら、アシストで負担を補う選択肢があります。
久しぶりに運動を再開したい人
普通の自転車ではきついと感じるなら、短い距離と補助を使って始めやすくします。
信号待ちの後の漕ぎ出しが苦手な人
何度も踏み込む負担が気になる人に。発進時の補助のかかり方は試乗で確認しましょう。
買い物帰りや帰路の疲れが気になる人
用事の後も帰ってこられる余力を残したい人に。アシストがあれば安心です。
アシスト付きでも、脚を使う運動になる
電動アシストはペダルを漕ぐ力を補う仕組みなので、自分の脚も動かします。「楽になるから運動ではない」と考える必要はありません。その人に合った運動を続けることが大切です。
電動アシスト自転車の研究をまとめた論文(Bourneほか、2018)では、電動アシストでの走行は少なくとも中くらいの強度の運動になり、普通の自転車よりは軽いものの、歩行よりは強いと報告されています。運動不足の人の心肺の体力を高めうる、という結果も示されています。
参考にした資料
- 健康・体力づくり事業財団『健康づくり』2021年10月号「自転車で健康づくり」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット:筋力・筋持久力
- Ozakiほか:Cycle training induces muscle hypertrophy and strength gain(2015)
- 厚生労働省:筋力トレーニングについて
- 警察庁:自転車の安全利用
- 厚生労働省:健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 推奨事項一覧
- 厚生労働省 e-ヘルスネット:生活活動のメッツ表
- Bourneほか:Health benefits of electrically-assisted cycling: a systematic review(2018)
