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※この記事は2026年11月時点で公開されているインタビューや報道をもとに書いています。最新の情報は本人の発信や公式発表でご確認ください。
フリップネタで笑わせる芸人であり、『架空OL日記』や『ブラッシュアップライフ』を書いた脚本家でもあるバカリズムさん。いまや「天才」と呼ばれることも多い人です。
でも、「バカリズム」はもともと2人組のコンビ名でした。2005年、30歳のときにコンビを解消。相方を失い、ひとりで再出発したところから、いまのバカリズムさんが始まっています。
この記事では、解散という逆境をどう乗り越えたのかを本人のインタビューからたどり、私たちが真似できる「突破のヒント」を取り出します。
バカリズムのプロフィール|「バカリズム」は元コンビ名
| 本名 | 升野英知(ますの・ひでとも) |
| 出身 | 福岡県 |
| コンビ時代 | 1995年、日本映画学校の同級生とコンビ「バカリズム」を結成。2005年に解消 |
| 解散後 | コンビ名だった「バカリズム」を芸名として引き継ぎ、ピン芸人に |
| 脚本の主な作品 | 『架空OL日記』(第36回向田邦子賞)、『ブラッシュアップライフ』ほか |
バカリズムの解散|30歳でコンビを解消した
バカリズムさんは、日本映画学校の同級生とコンビを組み、約10年活動しました。ところが大きく売れることはないまま、2005年、30歳でコンビを解消します。
30歳でコンビを失うのは、芸人にとって大きな逆境です。いちからひとりでやり直すには、遅いと感じてもおかしくない年齢でした。本人も、コンビを解消すること自体は寂しかったと振り返っています。
売れなかった理由を「自分」に向けた
バカリズムさんの話でいちばん印象に残るのは、コンビ時代に売れなかった理由についての振り返りです。2015年の雑誌『クイック・ジャパン』のインタビューで、こう語っています。
「単純に未熟だったし、面白くなかったから売れなかったんだと思います。」
さらに、当時は売れないことを環境のせいにしたり、お互いに相方のせいにしたりしていたとも認めています。
うまくいかないとき、原因を外に探すのは自然なことです。でもそれを続けているあいだは、自分では何も変えられません。バカリズムさんは解散をきっかけに、言い訳できる相手がいない場所に自分を置くことになりました。
バカリズムと日村勇紀(バナナマン)の関係|売れない時代を共にした「公式お兄ちゃん」
売れなかった時代のバカリズムさんを語るうえで欠かせないのが、バナナマンの日村勇紀さんです。2人は1990年代後半、まだ売れていない若手芸人どうしで、日村さんの家で一緒に暮らしていたことが知られています。
当時は「ボキャブラ天国」などのネタ番組から人気芸人が次々に生まれていた時期でした。一方で、バナナマンとバカリズムは実力はあっても「テレビ向きではない」と見られ、なかなか日の目を見なかったと紹介されています。
2021年7月のテレビ番組で、バカリズムさんは当時の2人をこう振り返っています。
「お互いしか味方がいない。外ではさげすまれているから」
出典:TBS「櫻井・有吉THE夜会」(2021年7月)での発言/日刊ゲンダイDIGITAL(2021年8月)
同じ番組では、「日村さんくらいしか自分のこと面白いと言ってくれない」とも話しています。まわりの仲間が売れていくなか、自分のネタを認めてくれる人がそばにいたことは、大きな支えだったとも考えられます。
2人の付き合いはその後も続いています。2020年には、バカリズムさんが原案・脚本を手がけるドラマ『住住(すむすむ)』に、日村さんが本人役で出演しました。このとき日村さんは、バカリズムさんにお金がなかった時代に約3年一緒に住んでいたことにふれ、こう話しています。
「僕はバカリズムの公式お兄ちゃんなんですよ!」
バカリズムさんも「日村さんとは20年以上の付き合いで、一緒に住んでいたこともある」とコメントしています。認めてくれる人がひとりいるだけで、人は踏みとどまれる。2人の関係は、そのことを教えてくれます。
ピン芸人として再出発|ひとりで全部やって「自立した」
コンビ名をそのまま芸名に
解散後、升野さんはコンビ名だった「バカリズム」をそのまま自分の芸名にしました。それまでの積み重ねを無駄にしないための選択だったとされています。
「これがバカリズムです」と打ち出しやすくなった
ピンになって良かった点として、本人はキャラクターとして「これがバカリズムです」と打ち出しやすくなったことを挙げています。2人だとイメージが分散しがちですが、ひとりなら自分の世界観をそのまま見せられます。
ピン芸人の大会「R-1ぐらんぷり」があったおかげで、ピンになって1年目からテレビでネタを見せる機会にも恵まれました。フリップを使った独特のネタで、何度も決勝に進出しています。
任せていたことを、全部自分でやる
コンビ時代は、スタッフとのやりとりなどを相方に任せていたそうです。ピンになると、それもすべて自分でやるしかありません。その結果について、本人は「すごく成長したし自立した」と語っています。
解散は「失ったもの」として語られがちです。でもバカリズムさんにとっては、人任せにしていた部分を自分で引き受け、ひとりで立てる力を身につけるきっかけになりました。
バカリズムの脚本|向田邦子賞を受けた『架空OL日記』
自分の世界観を磨き続けたバカリズムさんは、やがて脚本家としても評価されるようになります。
2017年に放送されたドラマ『架空OL日記』では、脚本を書き、自らOL役で主演も務めました。この作品で、2018年に第36回向田邦子賞を受賞。テレビドラマの脚本に贈られる、権威ある賞です。本人は「素晴らしい賞に選んでいただき大変光栄です」とコメントしています。
2023年に放送された『ブラッシュアップライフ』でも、ザテレビジョンドラマアカデミー賞の脚本賞や、東京ドラマアウォード2023の脚本賞などを受けています。
コンビを失った30歳の芸人が、ひとりで自分の表現を突き詰めた先に、脚本家というもうひとつの道が開けたのです。
ついに朝ドラの脚本へ|『巡るスワン』
その歩みは、NHKの連続テレビ小説(朝ドラ)にまで届きました。2026年8月の報道によると、バカリズムさんは来年放送予定の朝ドラ『巡るスワン』の脚本を執筆中です。長野県諏訪地方の警察署を舞台にした作品で、地元の女性たちへの取材も重ねているそうです。
番組で執筆の様子を聞かれると、「3、4日で1話書かないといけない」と大変さを明かし、「しんどい」と本音ももらしています。それでも書き続ける姿は、ひとりで全部を引き受けてきたピン芸人時代の延長線上にあるように見えます。
バカリズムから学ぶ、逆境を突破する3つのヒント
1. うまくいかない理由を、一度「自分」に向けてみる
環境や相手のせいにしているうちは、状況は変わりません。「自分が未熟だった」と認めるのはつらいことですが、そこから初めて、自分で変えられることが見えてきます。自分を責めるためではなく、自分で動ける場所を見つけるための振り返りです。
2. 失ったものではなく、引き継げるものを数える
バカリズムさんは、コンビがなくなっても「バカリズム」という名前と、それまでの積み重ねを手放しませんでした。転職や離別で環境が変わっても、経験や名前、築いてきたものは持っていける。ゼロからやり直すのではなく、続きから始めればいいのです。
3. 人任せにしていたことを引き受ける
誰かに頼っていた部分を自分でやるのは、最初は大変です。でもバカリズムさんが「成長したし自立した」と語ったように、そこで身につく力は大きい。ひとりになったときこそ、自分の力を伸ばすチャンスです。
バカリズムの本とDVDで、独特の世界観にふれる
バカリズムさんの頭の中をのぞいてみたい人には、本人の著書がおすすめです。
架空OL日記(1)
向田邦子賞を受けたドラマと同じタイトルの、バカリズムさんの著書(小学館文庫)。OLの日常を描くバカリズムワールドを文字で楽しめます。
都道府県の持ちかた【増補版】
都道府県を「持ちかた」で考えるという、バカリズムさんならではの発想で笑わせる一冊です(ポプラ社)。
脚本を書いたドラマをDVDで観る
架空OL日記 DVD-BOX
向田邦子賞を受けたドラマ。バカリズムさんがOLになりすまして書いたブログが原作で、原作・脚本・主演をすべて本人が務めています。
ブラッシュアップライフ DVD-BOX
数々の脚本賞を受けた、バカリズムさん脚本のドラマ(主演:安藤サクラさん)。
価格・在庫は各ショップの商品ページでご確認ください。
まとめ|解散は終わりではなく、再出発だった
- 「バカリズム」はもともとコンビ名。2005年、30歳でコンビを解消した
- 売れなかった理由を「未熟で、面白くなかったから」と自分に向け、環境や相方のせいにしていた過去を認めた
- コンビ名を芸名として引き継ぎ、ピンで全部を自分でやることで「成長したし自立した」
- 世界観を磨き続け、『架空OL日記』で向田邦子賞を受けるなど脚本家としても評価された
何かを失ったときは、それまでのすべてが無駄になったように感じるものです。でもバカリズムさんは、積み重ねを引き継ぎ、ひとりで立つ力を身につけて、まったく新しい道まで切り開きました。うまくいかない時期こそ、理由を自分に向け、続きから始める。その姿勢が、逆境を再出発に変えるのだと思います。
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参考にした資料
- OHTABOOKSTAND「バカリズム ターニングポイントとなった『コンビ解消』を振り返る」(2015年10月、『クイック・ジャパン』vol.121より)
- 東スポWEB 第36回向田邦子賞受賞の報道(2018年4月)
- ORICON NEWS『ブラッシュアップライフ』受賞歴(2024年10月)
- デイリースポーツ「バカリズム、来年朝ドラ脚本執筆は『しんどい』と本音」(2026年8月)
- 日刊ゲンダイDIGITAL「不遇を共にしたバカリズムと日村勇紀のブレない『心の支え』」(2021年8月)
- ORICON NEWS ドラマ『住住』に日村勇紀さんが本人役で出演(2020年4月)
- 現代ビジネス「バナナマンは、なぜテレビに欠かせない存在となったのか」(2016年4月)
