退職後の生活費を考えるとき、「失業給付はいくらもらえるのか」「いつから入るのか」は重要です。注意したいのは、退職した翌日に自動で振り込まれる制度ではないということです。
雇用保険の基本手当は、一定の受給要件を満たし、ハローワークで求職申込みと受給手続きを行い、失業認定を受けて初めて支給されます。自己都合退職か、倒産・解雇などによる離職かによっても、支給開始時期や給付日数が変わります。
まず確認|失業給付は誰でももらえるわけではない
基本手当は「仕事を辞めた人への退職金」ではなく、再就職を目指す人の生活を支える制度です。原則として、離職前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上必要です。倒産・解雇等の特定受給資格者や一部の特定理由離職者では、離職前1年間に6か月以上でも受給資格を満たす場合があります。
また、「就職したい意思があり、すぐ働ける状態」であることも要件です。退職後しばらく休養する予定の場合や、病気・けがなどですぐ働けない場合は、通常の基本手当とは別に受給期間延長などの手続きが関係することがあります。
失業給付を受けるまでの流れ
- 会社から離職票などを受け取る
- 住所地を管轄するハローワークで求職申込みをする
- 受給資格の確認を受ける
- 7日間の待期期間を経る
- 自己都合退職では必要に応じて給付制限期間を経る
- 指定された失業認定日に求職活動状況を申告する
- 認定後、基本手当が振り込まれる
離職票が届くのを待っている間も時間は過ぎます。退職日から最初の振込までには一定の空白があるため、「退職翌月の生活費を失業給付で払う」前提にしない方が安全です。
自己都合退職は7日間の待期+原則1か月の給付制限
2025年4月1日以降に正当な理由なく自己都合で退職した場合、受給資格決定後の7日間の待期に加え、原則として1か月の給付制限があります。退職日から遡って5年間に、正当な理由のない自己都合退職による受給資格決定が2回以上ある場合などは、3か月となることがあります。
一方、一定の教育訓練を離職前後に受ける場合には、2025年4月から給付制限が解除される制度があります。転職のために資格取得や職業訓練を考えている人は、対象になる講座かどうかをハローワークで確認する価値があります。
会社都合退職は「会社がそう言ったか」だけでは決まらない
一般に「会社都合」と呼ばれる離職には、倒産・解雇などによる特定受給資格者や、一部の特定理由離職者などがあります。自己都合退職とは受給資格要件や所定給付日数の扱いが異なる場合があります。
重要なのは、離職票に記載された離職理由を確認することです。実際の退職事情と記載内容が違うと思う場合は、そのままにせずハローワークで相談できます。
いくらもらえる?基本手当日額の考え方
基本手当の1日あたりの金額は「基本手当日額」と呼ばれます。原則として、離職直前6か月に毎月決まって支払われた賃金の合計を180で割った「賃金日額」をもとに計算されます。賞与などは通常この計算に含まれません。
基本手当日額は賃金日額のおよそ50〜80%、60〜64歳では45〜80%が目安で、賃金が低い人ほど給付率が高くなる仕組みです。年齢ごとの上限・下限があり、金額は毎年見直されるため、実際の見込み額はハローワークの最新資料で確認してください。
何日分もらえる?所定給付日数は退職理由で変わる
基本手当を受けられる日数は一律ではありません。年齢、雇用保険に加入していた期間、離職理由などによって決まります。一般的な自己都合退職では90日・120日・150日などが中心ですが、倒産・解雇等の特定受給資格者では、年齢と加入期間によってより長い給付日数になる場合があります。
「何か月もらえるか」だけを見るのではなく、いつから支給が始まり、1日いくらで、何日分あるかの3点をセットで確認すると、退職後の生活費を計算しやすくなります。
まとめ
失業給付は「退職したらすぐ、給与の代わりに振り込まれる制度」ではありません。受給資格、7日間の待期、自己都合退職の給付制限、失業認定を経て支給されます。金額と給付日数も退職前の賃金や年齢、加入期間、離職理由で変わります。
退職を決める前に、失業給付だけでなく、退職後に必要な生活費や健康保険、住民税までまとめて確認しておくと、転職活動を焦らず進めやすくなります。
参考にした公的情報
厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」、ハローワークインターネットサービス「基本手当について」「基本手当の所定給付日数」、厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」をもとに整理しています。

コメント
コメント一覧 (2件)
[…] つまり、「失業給付があるから退職翌月から生活費に充てられる」とは限りません。離職票が届くまでの期間や認定日、振込までの時間もあるため、最初の入金までを自力でつなげる資金を準備しておきましょう。詳しくは「失業給付はいくら・いつから?」で整理しています。 […]
[…] そのため、失業給付は「最初の生活費」ではなく、退職後の資金を補うものとして考える方が安全です。詳しくは失業給付の記事で整理しています。 […]