『ショーシャンクの空に』は、スティーヴン・キングの短編小説「刑務所のリタ・ヘイワース」を元にした1994年のアメリカ映画です。
妻とその愛人殺しの罪でショーシャンク刑務所に収監されたアンディ。無実のアンディは刑務所という過酷な環境の中、自らの能力を駆使して、襲い掛かる逆境を跳ねのけていきます。絶望的と思われた環境も、アンディは希望を捨てずに自分や仲間が住みやすい場所へと変えていきます。
監督：フランク・ダラボン 原作：スティーヴン・キング「刑務所のリタ・ヘイワース」 出演：ティム・ロビンス、モーガン・フリーマンほか
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「ショーシャンクの空に」あらすじ
1947年、アンディ・デュフレーン（ティム・ロビンス）は、妻と彼女の愛人を殺害した容疑で逮捕される。彼は無実を主張していたが、法廷では彼の冷静な態度や状況証拠が彼に不利に働く。アンディは終身刑を宣告され、ショーシャンク刑務所に収監される。
ショーシャンク刑務所に到着した当初、アンディは暴力や腐敗に満ちた環境に直面する。刑務官の囚人たちへの過激な暴力、囚人同士のいざこざ。アンディもまた、同性愛者の餌食になってしまう。
その一方で、レッド（モーガン・フリーマン）という囚人と友達になる。レッドは「調達屋」としての評判を持ち、塀の外から欲しいものを調達していた。アンディもレッドから小さなロックハンマーやポスターなどを調達してもらう。このポスターのモデルが、当時セックス・シンボルとして絶大な人気を誇ったリタ・ヘイワース。原作であるスティーヴン・キングの短編小説「刑務所のリタ・ヘイワース（Rita Hayworth and Shawshank Redemption）」では彼女の名前がタイトルになっている。
しばらくすると、アンディは刑務所の屋根の修理作業に選ばれる。作業中、刑務官が遺産相続で悩んでいることを知り、元銀行員副頭取の経験を活かし解決案を提示、引き換えに仲間達へのビールを要求し交渉に成功する。見返りのない労働と思っていた矢先、アンディの粋な計らいで囚人たちに笑顔が戻ったのだ。
図書係に配置換えとなったアンディのもとに、刑務官達が税務処理や資産運用の知恵をもらいに続々とやってくるようになる。アンディは元銀行員の経験を活かし的確なアドバイスを与え、所長の不正な会計処理の手伝いまでさせられることになる。
それまでの図書係はただ本の管理をする退屈なものだったが、アンディがその係を担当するようになると、彼は州議会に図書館予算の請求を手紙で送るなどをして精力的に活動を始める。州議会は無視を決め込んでいたが、アンディが何年もかけて連絡を続けるうちに、州議会は折れ、わずかな寄付金と古書をショーシャンク刑務所に送った。その後もアンディは州議会に手紙を送り続け、年度毎の予算まで獲得した。それにより、倉庫同然だった図書館は囚人達の教養を得る場へと変わっていった。
刑務所内で一目置かれる存在となったアンディは、刑務官からも特別扱いされるようになる。ある時、アンディを辱めていた同性愛者は、刑務官の過激な暴力により刑務所を去っていく。
新たに入所したトミーとアンディは仲良くなるが、トミーはアンディの過去を知ると、その真犯人に心当たりがあるという。それを聞いたアンディは所長に再審請求するように頼み込むが、不正経理の全てを知っている彼を自由にさせる気は所長にはなかった。あきらめないアンディに手を焼いた所長は、無実の鍵を握るトミーを脱走したように見せかけ射殺する。
年月が経ち、アンディは20年以上もの間、刑務所内で多くの人々との関係を築き上げる。レッドとの友情も深まり、二人は外の自由な世界や将来の夢について語り合う。
そして、ある日、アンディが突如脱獄を果たす。彼は１９年かけて、レッドから調達したポスターの裏の壁にミニハンマーで穴を開け下水管までたどりつき、外の世界に通じる道を作っていたのだ。外に出たアンディは、刑務所長が作った口座から金を引き出し、告発状を新聞社へ送りメキシコへ向かう。ショーシャンク刑務所の腐敗した体制は一般に知られることとなり、所長は自らの命を絶つ。
間もなくレッドも仮釈放され、アンディが残した伝言を信じ、メキシコへ向かう。そして海辺の町で、悠々自適の生活を送るアンディと再会し、笑顔で抱き合う。
名作なのにアカデミー賞無冠？！
今では映画史に残る名作とされる「ショーシャンクの空に」はアカデミー賞に7部門でノミネートされましたが、受賞はできませんでした。その理由については、いくつかの説があります。
一つは、同じ年に公開された『フォレスト・ガンプ』や『パルプ・フィクション』といった強力な競合作が存在したことです。これらの作品はアカデミー賞で多くの受賞を果たし、『ショーシャンクの空に』は影に隠れてしまったと言われています。
もう一つは、タイトルが観客に分かりにくかったことです。ショーシャンクとは架空の刑務所の名前であり、どんな映画なのか想像しにくかったと考えられます。
さらに、女性の登場人物が少なく、男性中心の刑務所ドラマであることも興行的な不利になったと指摘されています。女性観客の興味を引く要素が少なかったと言えるでしょう。
しかし、アカデミー賞へのノミネートや口コミにより、後にビデオやテレビ放送で人気を集めました。現在では多くの人から映画史に残る名作として評価されています
困難は乗り越えられる
この映画のテーマは、希望、そして自分を信じることの大切さだと思います。
アンディは無実の罪で投獄されたことで絶望的な状況に置かれますが、自分の信念や希望を捨てずにいました。アンディの長所は、聡明さと他人への思いやりでした。彼はその能力をフル活用して、過酷な環境のなかで、自分や仲間たちの幸せを見出していったのです。
一滴の水でも、継続して同じところに落ち続けると、やがて石であっても窪みができます。アンディは小さなロックハンマーでこつこつと壁を掘り続けることで、不可能と思われた脱獄を可能にしました。
アンディが最初に貼ったポスターは、1940年代のセクシー女優リタ・ヘイワースでした。彼女はアンディが刑務所で上映された映画『ギルダ』の主演でもあります。このポスターは、アンディが脱獄の穴を掘り始めたことを隠すためにも使われました。
次に貼ったポスターは、1950年代のセックスシンボルマリリン・モンローでした。彼女は『七年目の浮気』や『紳士は金髪がお好き』などのコメディ映画で有名です。このポスターは、アンディが図書館の予算を獲得したり、レコードを流したりするなど、刑務所内で活躍するようになった時期に貼られました。
最後に貼ったポスターは、1960年代のグラマー女優ラクエル・ウェルチでした。彼女は『恐竜100万年』や『バンドレロ』などの冒険映画で人気を博しました。このポスターは、アンディが脱獄する直前に貼り替えたもので、穴を完全に隠すために大きなサイズのものを選びました。男たちの憧れであった女優達の向こう側には希望があったわけです。
ポスターのモデルの移り変わりを見てもいかに長い年月をかけて、穴を掘っていたかがわかりますね。
絶望的な環境でも希望を持ち努力を続ければ、やがて、それが花開くことを「ショーシャンクの空に」は教えてくれます。みなさんも、辛くなったらこの映画を思い出してください。
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